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小話 2006.12.27 03:21
「ん……」
いつの間にか眠っていたらしい。突っ伏していたリビングのテーブルから顔を上げると、背中が凝り固まっていた。
「うー」
うめきながら伸びをした。いまだ手に持っていたボールペンをテーブルに置く。
書きかけの便箋は、僕の腕でしわくちゃになっていた。
少し、引っ張って伸ばしてみる。元通りになるはずはないけれど。
一番上に、僕の癖字が並んでる。
『堂本光一さま』
それだけ。いざ書こうとしたら、思っていたことはちっとも出てこなくて、たわいのないことばかり。それならわざわざ手紙を使う必要もないでしょ。でも僕は、手紙を出したかったんだ。
もう一度、ボールペンを手にする。カーテン越しに白い朝日が綺麗だ。
『手紙なんて、びっくりしましたか?どうせ君のことやから、反応薄いんでしょうね。だから、少しでも心に引っかかってくれればいいと思います』
受け取った光一を想像して笑みがこぼれてきた。宛名を見て、きょとんと裏返したり表返したりしてる図。ジャージに寝癖のままで、首とか掻きながら封を開ける。イカンイカン。一人で部屋でニヤニヤしてるなんて、暗い通り越してオカシイ人や。
『コンサートが終われば、もう仕事ですら会えなくなります』
会えなく、のところで、少しペンが止まった。
『会えなくなるのは淋しいけど』
暖房が効いているはずなのに、冬の空気が肌寒い。
『それぞれの道があるから。やるべきことをやって、そして帰ってくる』
いつも、ソロ活動をするたび二人で言うこと。相手に、自分に、言い聞かすこと。
必ず、帰ってくる場所があるから、だから挑戦する勇気が持てる。
独りでいる、すべての時間も、君との時間のためにある。
『だから、さよなら。少しだけ、さよなら』
丁寧に、丁寧に書いて、一度読み返してから、白い封筒にしまって封をする。封筒には最初に書いた『光一へ』って文字が、ぽつんと書いてある。
それをそっと、鞄にしまう。
きっと、投函しない。いつも、一人の夜がさびしくなって光一を呼んで、そのたびに優しい彼は会いに来てくれる。だけど今度は、我慢できる気がするんだ。
さよなら、って、自分に言い聞かせられたから。


『Harmony of December』のカップリングの、『さよなら』で小話を書いてみました。そのうちジャケ写でも書く!だってぇ、剛によると「宇宙の中で出会った二人(とファン)は、偶然だけど運命」だというコンセプトだそうなので、最初の印象の「二人の赤い糸」はあながち間違ってもいなかったってことでしょう?
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