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Romantic Phisics 2
2008.06.13 20:14
「前から気になってることがあるんだけどさ」
気づいていないのか、故意に無視しているのか。君は顔も上げないけれど、気にしない。
「複素数って何?」
机の上に乗り出してその手元を覗く。文字を一生懸命書いているようだが、黒くなっていく紙面を見ただけで中身を読む気がしない。
「習ったでしょ?自乗するとマイナスになる数だって」
右手を止めず、答えを返してくれた。それに頷く。
「それは知ってる。でもその意味が分からない」
ペンが止まった。ちらりと手元から目を上げて、目が合った。
「意味?」
「そうそう」
めんどくさそうに眉が下りた。口はへの字に曲がっている。
「意味なんてないよ。だって本当はない数なんだから」
思わず目を丸くした。
「ないの?」
こっちの反応には興味がないようで、再びペンが動き始める。
「ないよ。例えば林檎を数える数は本当にあるよね?それを、『実際にある数』だから実数って呼ぶでしょ。虚数は実際にはない数だよ」
そうなのか。それではなおさら。
「実際にない数について、どうしてこんなに考えなきゃいけないの?」
実際にない数字が、本当になかったら、自分の数学だってもう少しはどうにかなったのではないか。
君はもう一度顔を上げて、こちらをじっと見た。考えるように首をかしげていて、それから持っていたペンを置いて、背筋を伸ばしてくれた。
「あのね」
やっと自分を見てくれた。
「うん」
頷き返すと、とっかかりを探すように指が宙を動いて、人差し指がぴっと立った。
「確かに見えない数なんだけど、それがあるって思った方がしっくりくるんだよ。粒子の動きを考えるときとかね、計算途中には虚数単位が出てくる。でもそのまま計算していけば、最終的に実数の値になる。物理現象は、つまり見えてる粒子の動きは、実際にある実数にならなくちゃいけないから」
えっ?それって。
「それって、そんなご都合主義の理由なの?」
「ご都合主義、ってゆーか、……、うーん」
人差し指がくるくる回る。その指先をじっと見つめた。
「見えないものが見えてるものの行動を説明できるって、結構普通でしょ?それが、数字になっちゃってるだけで」
そう言われたら、そうだろうか。つまり。
「つまり、君が実際に手を止めてちゃんと相手してくれているのは、見えない君の心の中で、その仕事よりこの話の方が大きい数字だってこと?」
つまり、大事だってこと。
本当は、複素数なんて興味ない。興味があるのは君とお話すること。君は、気付いて相手してくれているんでしょ。
その目がきょとんと固定されて、唇が少し突き出している。
「虚数には大小はないから」
がくりとした。自分の知識のなさをさらけ出した結果だ。
机に突っ伏したら、その頭の上で小さく笑い声が聞こえた。
「ああ、確かに心は似てるかな」
問おうと顔を上げようとしたが、かなわなかった。
「君と比べられるものなんてないよ」
真っ赤になった顔をもう一度机に押しつけた。
目指すは砂糖吐き小説です。いえあ!
一人称を出さないようにするのが非常に難しいです。二人称は少し迷った末に二人とも「君」にしました。これ、モデルがいて、そしたら理系の方は「お前」って言いそうなんだけど、まいっか。
虚数って、皆さん覚えていますか?まだ習っていない人もいますかね??
まそほは虚数にすごく疑問を感じていたんですけど、最近読んだホーキング博士の本に、ある方法を使って計算して、現実がうまく説明できればそれを採用する、って書いてあって、なるほど、そういう考え方か~、と思ったので。ホーキング博士は見本みたいな実証主義者で物理学者なので、数学は道具、世の中に確かにあるものしか信じない、という思想なんですね。さすがにそこまで白黒はっきりできないですけど、納得はできます。
気づいていないのか、故意に無視しているのか。君は顔も上げないけれど、気にしない。
「複素数って何?」
机の上に乗り出してその手元を覗く。文字を一生懸命書いているようだが、黒くなっていく紙面を見ただけで中身を読む気がしない。
「習ったでしょ?自乗するとマイナスになる数だって」
右手を止めず、答えを返してくれた。それに頷く。
「それは知ってる。でもその意味が分からない」
ペンが止まった。ちらりと手元から目を上げて、目が合った。
「意味?」
「そうそう」
めんどくさそうに眉が下りた。口はへの字に曲がっている。
「意味なんてないよ。だって本当はない数なんだから」
思わず目を丸くした。
「ないの?」
こっちの反応には興味がないようで、再びペンが動き始める。
「ないよ。例えば林檎を数える数は本当にあるよね?それを、『実際にある数』だから実数って呼ぶでしょ。虚数は実際にはない数だよ」
そうなのか。それではなおさら。
「実際にない数について、どうしてこんなに考えなきゃいけないの?」
実際にない数字が、本当になかったら、自分の数学だってもう少しはどうにかなったのではないか。
君はもう一度顔を上げて、こちらをじっと見た。考えるように首をかしげていて、それから持っていたペンを置いて、背筋を伸ばしてくれた。
「あのね」
やっと自分を見てくれた。
「うん」
頷き返すと、とっかかりを探すように指が宙を動いて、人差し指がぴっと立った。
「確かに見えない数なんだけど、それがあるって思った方がしっくりくるんだよ。粒子の動きを考えるときとかね、計算途中には虚数単位が出てくる。でもそのまま計算していけば、最終的に実数の値になる。物理現象は、つまり見えてる粒子の動きは、実際にある実数にならなくちゃいけないから」
えっ?それって。
「それって、そんなご都合主義の理由なの?」
「ご都合主義、ってゆーか、……、うーん」
人差し指がくるくる回る。その指先をじっと見つめた。
「見えないものが見えてるものの行動を説明できるって、結構普通でしょ?それが、数字になっちゃってるだけで」
そう言われたら、そうだろうか。つまり。
「つまり、君が実際に手を止めてちゃんと相手してくれているのは、見えない君の心の中で、その仕事よりこの話の方が大きい数字だってこと?」
つまり、大事だってこと。
本当は、複素数なんて興味ない。興味があるのは君とお話すること。君は、気付いて相手してくれているんでしょ。
その目がきょとんと固定されて、唇が少し突き出している。
「虚数には大小はないから」
がくりとした。自分の知識のなさをさらけ出した結果だ。
机に突っ伏したら、その頭の上で小さく笑い声が聞こえた。
「ああ、確かに心は似てるかな」
問おうと顔を上げようとしたが、かなわなかった。
「君と比べられるものなんてないよ」
真っ赤になった顔をもう一度机に押しつけた。
目指すは砂糖吐き小説です。いえあ!
一人称を出さないようにするのが非常に難しいです。二人称は少し迷った末に二人とも「君」にしました。これ、モデルがいて、そしたら理系の方は「お前」って言いそうなんだけど、まいっか。
虚数って、皆さん覚えていますか?まだ習っていない人もいますかね??
まそほは虚数にすごく疑問を感じていたんですけど、最近読んだホーキング博士の本に、ある方法を使って計算して、現実がうまく説明できればそれを採用する、って書いてあって、なるほど、そういう考え方か~、と思ったので。ホーキング博士は見本みたいな実証主義者で物理学者なので、数学は道具、世の中に確かにあるものしか信じない、という思想なんですね。さすがにそこまで白黒はっきりできないですけど、納得はできます。
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